運命なんだ
君に会えたのは





     運命





「あんたってさ、宇宙人とか信じる?」
「は?」
「いやだから、宇宙人とか信じてんのかなと思って」
「忍チン」
「何」
「何でいきなりそんな話になったのかオジサンにも分かるように説明してくれますか?」
「何だ、ボケか?」



(クソガキが…)


このお坊ちゃんの言うことには一貫性がない
今まで勉強の話をしていたはずがいつの間にか話は宇宙人に…
……最近の若者の考えはよく分からん


「だから信じてんのか、信じてないのかだけ答えてくれればいいんだよ」
「はぁ」

(…俺の質問は無視か!!)


「宇宙人ねぇ〜。いるんじゃないのか」
「何で?」
「何でって、根拠はないけど…ほら、かぐや姫だって宇宙人なんだぞ」
「ああ、月に帰ってったから?」
「そう、あれは日本初の宇宙をモチーフにした小説だからな」
「…あれって作り話じゃん」
「まあ、そんなこと言ったら元も子もないが」
「ま、いいや。じゃあさ、幽霊は?」
「幽霊ね〜、いるんじゃないの」
「何で?」
「それこそ色んな文献があるだろ、それに人間の情ってのは怖いからな」
「ふーん」
「何で急にそんなこと聞くんだ?」
「じゃあさ、運命は?」


(…俺が質問してるんですがね)


「運命ね〜」


…ああ、そういうことか
そこが聞きたくてこんな遠回りしたわけか
宇宙人やら幽霊やら訳の分からんことを聞いてたのは
“運命”を信じてるかどうか、が聞きたかった訳か


「あってもいいんじゃねーか」
「そっか」


嬉しそうな顔だな


「ただしな」
「ただし?」
「運命ってのは変化する」
「…そうなのか?」
「宿命と運命は違う。
 宿命は持って生まれたもんだが、
 運命は途中で変わる」
「そうなんだ…」
「何だ、そんなことも知らんかったのか」
「悪かったな」
「つまり、俺が言いたいのはだな…」



変わりゆく運命のなかで
それでも君に逢えた



それは紛れもなく
出逢うはずだったということ


宿命とは別の
変わりゆくなかで変わらぬもの



不変であり絶対であり
そして



「?なんだよ、何笑ってんだよ。ってか続きは?」
「ま、もう少し大人になってから教えてやるよ」
「何だよそれ!おい、宮城教えろ、気になるだろ」




「ま、お前と逢うのは運命だったんだろうな」
「そっか」



君に出逢えたのは
紛れもない運命


―――――あとがき―――――
小説内で書いた“運命”と“宿命”の解釈は
晴和なりの解釈なので
一般的にどうなのかは分かりません




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