例えば欲しいものがあるとする
それが本当に欲しいならどうすれば手に入るか考えなければ



   



                    欲しくば、思案を







本を読んでるときのヒロさんは俺のことなんてほったらかし
大抵「あぁ」とか「うん」とかで済ませられてしまう






(まぁ、別にそれならそれで構わないんですけどね)




―ピピッ




「ヒロさん」
「あぁ」
「俺の話、聞いてます?」
「ウン」
「じゃあ、俺のお願いきいてくれます?」
「うん」
「じゃあ一緒にお風呂入りましょうね」
「うん」
「一緒に湯船に使って、背中流したりするってことですよ?」
「あぁ」
「言いましたね」
「うん」
「男に二言はないですよね」
「あぁ」



―ピピピッ









証拠さえ掴めば後はこっちモノ
ヒロさんのプライドを傷つけない程度に詰め寄れば大丈夫






(ホント最近の携帯って便利ですよね、ヒロさん)




準備が完了したらヒロさんが本を読み終わるまで、イイ子で『オスワリ』
キチンと躾を受けた犬は『御主人様』の気が済むまでじゃれ付いたりしない
ちゃんと『待テ』が出来た後には『御褒美』があることを知ってるから






「ふぅ」
「読み終わりました?」
「あ、あぁ。悪い、読み始めたら止められなくて」
「別に構わないですよ。はい、ヒロさん」
「…?携帯?これがどうしたんだ?」
「押してください」
「?押せばいいのか?」
「ハイ」










『ヒロさん』
『あぁ』
『俺の話、聞いてます?』
『ウン』
『じゃあ、俺のお願いきいてくれます?』
『うん』
『じゃあ一緒にお風呂入りましょうね』
『うん』
『一緒に湯船に使って、背中流したりするってことですよ?』
『あぁ』
『言いましたね』
『うん』
『男に二言はないですよね』
『あぁ』






「………ナンダ、コレハ」
「文明の利器、ってやつですね」
「テメェ……、卑怯だろ。人が本読んでるときに、こんなの」
「俺、『聞いてます?』ってちゃんと聞きましたよ。そしたらヒロさん『聞いてる』って」
「だからって…」
「男に二言はない、でしょう?」
「……」
「ヒロさん?」
「……ッ、分かったよ!!入りゃあいいんだろ、入りゃあ!!!」
「背中も流すんですよ」
「…分かった。背中、な」
「はいっ!」
「背中だけ、な」
「あっ!」
「約束は、背中だったよな。そこ以外は接触禁止だ!!分かったか、アホ野分」
「ヒロさん、非道い」
「何が『非道い』だ!ったく、要らん知恵つけやがって」
「……」



盲点だったな。身体を流す、にすれば良かった
まぁ、今回はいいか
次はもう少し考えてやらないとダメだな
この手は暫く使えないだろうし




(でも、楽しみが増えるだけだ)






ねぇヒロさん、知ってました?
犬って食肉目なんですよ
それに、逃げるものは反射的に追っちゃう習性とかあるんですって
獲物が、ヒロさんが、そうやって逃げれば逃げるほど
追い詰めたくなっちゃうんです




だけど、習性だからしょうがないですよね



―――――あとがき―――――
どうしようもなくエゴイストが書きたくなって…
最近欠乏症気味ですから



〜ちっちゃくオマケ〜
「っ、野分。テメェ…」
「ほら、ヒロさん後ろ向いてください。背中流してるんですから」
「背中流すんだったらもっと力入れてやりゃあいいいだろ!」
「ヒロさんの肌に傷が付いちゃいますから」
「クソガキッ」
「背中以外は触っちゃダメなんでしょう?」



ヒロさんは追い詰められて逃げ場がなくなって、初めて自分の状況に気付けばいい



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