俺の知らないこと
教えてほしい






     教えてほしい





「…ウサギさん」
「何?」
「これは一体何なんでしょうか」
「俺のパソコンのファイルに入っていた画像ですよ」
「…」



(いけしゃあしゃあと…)



「美咲」
「何」
「人のパソコン勝手に覗くのは良くないぞ」
「…人の幼少期の写真勝手にコレクションするのは良いのかよ!!!」
「勝手にじゃない、きちんと正規のルートから手に入れた」
「どーせ兄ちゃん経由だろ!!」
「分かってるじゃないか」
「…」


(こいつ…)


「別に盗撮したわけでもお前の家から盗ってきたわけでもない。
 孝浩に頼み込んで譲ってもらったんだ」


(兄ちゃんも何やってんだよ!!!)


「………。まあいい」
「?」
「フ、あれに保存してあった写真は全部消してやったぜ!!!」
「…」


(ショック受けてる、受けてる)


「お前は…」
「何だよ」
「馬鹿か」
「何ィ!!」
「俺がバックアップしてないと思ったのか」


(ハッ!!忘れてた!!)


「…保存したフロッピーは…?」
「これだ」
「叩き割ってやる〜!」
「取れるもんならな」
「届かない〜」


(身長が…)


「つーか俺の写真なんてどうする気なんだよ」
「別に何かに使うわけじゃない」
「当たり前だ!!」
「ただ、興味があったから」
「え?」


(それって)


「俺の知らない頃のお前を知りたかった」
「それで兄ちゃんに?」
「話自体は孝浩から色々聞いていたが、見てきたわけじゃない
 だからその頃の美咲が知りたいから」
「じゃあさ、ウサギさんの小さい頃も教えてよ」
「え?」
「そしたらさ、おあいこじゃん」
「俺の?」
「ウサギさんだけ知ってるのってずるいじゃん。だから俺にウサギさんの小さい頃のこと教えて」




ねぇ教えて
貴方の過去を
貴方の全てを
貴方の想いを


俺の知らない貴方を
教えてほしい


貴方の知らない俺を
知ってほしい


俺たちは出会って間もない
まだまだ互いのことを知らない
だから知りたいと思うんだ


「わかった」
「ホント?」
「ああ、これからじっくりと教えてやる。但し」
「ただし?」
「ベッドの上でな」
「は?」
「ベットの上でゆっくりじっくり教えてやる」
「なな、な、ななな、何でベッドの上なんだよ〜!!!!!!」



(俺、また早まった〜?!)


高橋美咲19歳
宇佐見秋彦29歳
年齢の差は(悪)知恵の差


―――――あとがき―――――
…“教えてほしい”
…何を教えてほしいんですか…(それを考えるんですよ)
お題消化の難しさを実感しております

inserted by FC2 system