この部屋に鎮座する熊

いや、テディー・ベア





     鈴木さんと私




鈴木さんは俺なんかよりずっと長くここにいる
ということは……
俺より先輩



「ウサギさん」
「ん?」
「鈴木さんってさ、いつからいるの?」
「…ずっと前から…だな」
「鈴木さんってさ、本物のテディー・ベアなの?」
「本物だよ、タグにシリアルナンバーがあるだろ?」
「テディー・ベアってさ結構高いって聞いたんだけどホント?」
「さあ、そうでもないんじゃないか?」
「…幾らぐらいか知ってる?」
「気にしたことないな」


(そうでしょうともよ!!)


俺情報によると20〜30万
いや、それ以上のものも数多くあるらしい
…100万とかするのもあるらしい


(あの部屋にあるもののほとんどが…いや、全部が…)


「あのさ、あのクマ部屋全部でいくらぐらいになるのかな?」
「さあ、2,000〜3,000万ぐらいじゃないか?」


(…兄ちゃん、ウサギさんと一緒にいると自分がおかしいのかと錯覚します…)


「何で集めるようになったの?」
「一般の中流家庭にクマのぬいぐるみは必需品だと聞いて」


(…誰情報だよ!!)


「いや、確かにクマのぬいぐるみは必需品かも知んないけど
 でも、テディベアってあんまり持ってないと思うよ」
「そうなのか?」
「…少なくとも俺の家にはなかった」
「じゃあ、ちょうど良いな」
「ほえ?何で?」
「小さい頃と違う体験が出来るだろう?」


ウサギさんの思考回路はよく分からない


でも、こういうのは嫌いじゃない



「リボン、換えてくるね」
「ん」


日課のリボン交換


(先輩に挨拶しとかないとね)


「鈴木さん、これからもよろしくお願いします」


鈴木さんは無口だけど
いっつも目を見て話を聞いてくれる


(今度ウサギさんになんかされたら鈴木さんに相談しようかな)


高橋美咲19歳
身近なところで相談相手ゲット


………果たして相手になるのかは
謎


―――――あとがき―――――
…鈴木さんネタは難しいです
ネタが思いつかず苦労しました
本当は鈴木さん目線にしようかと思ったんですが
“私”ということはやっぱりどっちかなのかなっと
思ってこういう形になりました

…鈴木さんと鈴木さんJr.の会話にすればよかった!!!



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