着物の醍醐味は
やっぱり悪代官ごっこだと思う








           残暑お見舞い申し上げます











「ヒロさん、今日花火大会があるんですって」
「らしいな」
「俺、今日は休みだし一緒に見に行きませんか?」
「・・・う〜・・・ん」
「嫌、ですか?」
「嫌っつーか、行くのか?」
「行かないと花火見えなくないですか?」
「いや、その花火大会はここから見える」
「そうなんですか」
「一応な。仕掛け花火は見えねぇけど打ち上げは見えるんだよ」
「へぇ〜、俺知らなかったです」
「去年まで仕事だったからな」
「そうなんですよね」
「だから・・・家で見ねーか・・・?その・・・・・・ここだったら…ふ、二人で、見れる・・・つーか・・・」
「そうですね。俺もヒロさんと二人で見たいです」
「い、いやそれに態々人込みに行くのも嫌だし、あと・・・」
「俺、嬉しいです。ヒロさんと二人っきりで見れて」
「・・・っ。」
「浴衣があればもっと良かったんですけどね。もっと早くから知ってたらな・・・」
「何だ、野分浴衣着たかったのか?」
「まぁ・・・出来れば」
「あるぞ」
「・・・え?」
「実家から送ってきたのが。あ〜、お前のサイズがあるかな?」
「実家から、ですか?」
「お袋が贈って来るんだよ。一枚でっかいのがあったはずなんだけど・・・。お、あった」
「・・・これ、ヒロさんには大きくないですか?」
「うっせー。お袋が採寸間違えたんだよ」
「ヒロさんのお母さんの手作りなんですか?」
「さぁ?分からねぇ。・・・ピッタリだな・・・面白くねぇ」
「何でです?」
「・・・何でもねーよ。あ、俺のもあった」










「ヒロさん」
「ん〜、出来たか?つーか長ぇーよ。どんだけ時間かかって・・・」
「・・・これでいいんでしょうか?」
「・・・野分」
「はい」
「お前、着物着たことあるか?」
「無いです」
「着れねーんなら最初っから言え!!!それじゃ死に装束じゃねーか!」
「す、すいません」
「うわぁ・・・帯も無茶苦茶だな・・・」
「すいません」
「よし、脱げ!」
「は?」
「は?、じゃねぇ。脱げ!!モタモタすんな」
「ヒロさ・・・ちょっ・・・帯引っ張らないで下さい!うわ、わ・・・わ!目が回っ・・・」
「つーか何で下着つけたままなんだよ、脱ぐに決まってんだろ」
「そういうものなんですか」
「ったく・・・俺が着付けてやるから向こうで脱いで来い」
「はい」
「あ、半襟は左が上だからな」
「半襟?」
「併せるところだよ」
「あ、はい」
「右が上なのは死に装束だ」
「女性用とかでも無くてですか?」
「着物は男も女も一緒」
「ヒロさんは物知りですね」
「物知りつーかガキのころに散々やったからな」
「へ〜」
「分かったらとっととやれ!」
「はい」







「ヒロさん」
「ん、準備できたか」
「はい」
「んじゃこっち来いよ」
「併せはこれで合ってるんですよね」
「あぁ。帯貸せ」
「お願いします」












「こんな感じかな、苦しくないか?」
「はい、全然苦しくないです」
「つーか結構手間取ったな、もう始まる頃だ」
「本当ですね。すみません、俺慣れないことなんでどうしていいか分からなくて」
「別に、初めてなんだからしょうがねぇだろ。あ、始まった」
「本当ですか?」
「早く来いよ」
「はい」














「お、ナイアガラ」
「何です?ナイアガラって」
「花火の種類だよ、さっきの花火流れるみたいに下に落ちていったろ?だから“ナイアガラの滝”」
「ヒロさんは物知りですね」
「ん〜、昔花火の種類についてちょっと調べたりしたこともあるからな」
「何でですか」
「・・・・・・気になったから」
「フ、ハハハ。ヒロさんらしいですね」
「わ、笑ってんじゃねーよ!」
「アハハハ、ごめんなさい」
「あー、もういい、知らん」
「怒らないで下さいよ」
「別に怒ってねぇ」
「でも顔が怒ってます」
「だから別に・・・って、何くっついてんだ!熱いんだよ」
「ヒロさんに機嫌直してもらいたくて」
「・・・阿呆か・・・、もう…怒ってねぇよ」
「本当ですか」
「あぁ・・・。・・・・・・・・・オイ」
「何です?」
「何です?じゃねぇ!!お前何処触って・・・ちょ、離せ!」
「せっかく浴衣を着て花火を見てるんだし、と思って」
「は?」
「ヒロさん前言ってたじゃないですか、『浴衣着て、花火しながらエッ・・・』」
「だぁぁぁぁ!!!!な、な、な、何言ってんだ!!アレは言葉のあやっつーか」
「じゃあ・・・嫌ですか?」
「い、嫌つーか」
「俺と一緒に居るのは、嫌、ですか?」
「別に・・・嫌じゃねぇけど」
「じゃぁ、良いですよね」
「・・・っ、勝手にすりゃいいだろ!!」
「ハイ、そうします」
「ちょっと待て・・・ここでか?」
「花火見ながら、ですから」
「・・・嫌だ!」
「どうしてですか」
「こ・・・声が・・・」
「声が漏れるから、ですか?」
「・・・そ、・・・・・・ぅ」
「それなら、俺が抑えておいてあげます」
「そういう問題じゃねぇ!」
「そういう問題です、それにヒロさんが言ったことじゃないですか」
「だからそれは別に俺はそんなつもりで言ったんじゃ・・・」
「ヒロさんの望むことは俺が全て叶えたい」
「・・・野分」
「止めますか?」
「・・・・・・イヤだ」
「わかりました、続けてもいいんですね」
「・・・・・・・・・」











「ヒロさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思うか」
「すみません」
「・・・謝んな、ボケ」
「・・・いつの間にか花火終わっちゃいましたね」
「そうだな」
「ヒロさん」
「ん?」
「来年も一緒に見れるますよね」
「・・・お前の仕事さえなけりゃな」
「努力します」
「まぁ・・・」
「?」
「見れなかったら、一緒に線香花火で我慢だな」
「・・・それも素敵ですね」








夏の終わり
秋の始まり
さぁ、今度は何をしようか






―――――あとがき―――――
夏の終わりというか・・・秋真っ只中!!!
ごめんなさい、本当はもっと早めにUPする予定だったにも拘らず
サーバーの所為で!遅れてしまいました
・・・いや、書けたのは9月ですけどね(自分の所為
久しぶりに更新できたので許してください・・・

因みに冒頭の「着物の〜」は晴和の勝手な見解ですので悪しからず
本当はヒロさんにしたかったのですがどうしてもそこまでの流れが思いつかず結局野分にしました
友人に「攻めが帯クルクルされるんだよ〜」と言ったら
「え?あれ?違うくね?」と返されました




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