他人の入る隙など作らない
俺と貴方だけの場所











         薫り










「ヒロさん、おかえりなさい」
「うぉ!何で玄関に居んだよ」
「もうそろそろ帰ってくる頃かと思って」
「あ、そ」
「ヒロさん荷物貸して下さい」
「?ハイ」
「ちょっとそこで待っててくださいね。まだ上がらないでくださいね」
「は?」



―シュッ



「…?消臭スプレー?何でまた」
「俺花粉症なんで、これ花粉も落ちるらしいんで」
「言ってくれれば、外で払って入ってきたのに。悪かったな、今度からそうするわ」
「いえ、払うよりこういう物のほうが効果があるんで」
「ふーん。つーかお前そもそも花粉症だっけ?初耳…」
「何か今年から急になってしまったらしくて」
「へ〜、大変だな。あれ、結構キツイって聞くけど大丈夫か?」
「はい、ご協力ありがとうございます。あ、ヒロさん先に風呂入ってきます?」
「あ〜、そうするわ。その方が花粉も落ちていいだろ」
「すいません、面倒かけて」
「気にすんなって。……一緒に暮らしてんだし、そういうの知っときたいし」
「ヒロさん…」
「…っ。風呂行ってくる」
「ハイ」








別に花粉症とかいう訳じゃない…
ただどうしようもなく嫌だっただけ
どうしようもないくらい苛立っただけ
玄関が開いて、ヒロさんが帰ってきてくれたのに
ヒロさんの吸わない煙草の匂いがヒロさんからしたのが嫌だっただけ
ここはヒロさんと俺の場所なのに、他人の匂いが混じるのが嫌だっただけ
ヒロさんからじゃなくても、ヒロさんの身に付けているものから匂うのも嫌
ヒロさんならなんてもっと嫌
本来なら身に付けていた服も、刻んでしまいたいぐらいだ…












「風呂、上がったぞ」
「じゃぁ、ご飯にしましょうか」
「あ〜…悪い。手伝うんだったのに……」
「気にしないでください、今日俺非番だったし」
「でも…」
「今日はヒロさんの好きなもの作ってみました、どうですか?」
「……旨そう」
「本当ですか?良かった」








いつもの香り
ヒロさんの匂い
おそろいのシャンプー
おそろいのボディーソープ
他人の入る隙など一分も無い
俺とヒロさんだけの空間
俺とヒロさんだけの共有









「だぁー、離れろ。くっつくな、暑苦しい」
「酷いですよ、ヒロさん」
「酷いのはどっちだ。コラ、離れろって」
「ヒロさん髪濡れてます。風邪ひいちゃいますよ」
「面倒なんだよ、ドライヤー」
「俺がかけてあげましょうか」
「要らん。俺は腹減ってんだよ、さっさと飯食いてーんだよ」
「じゃあご飯よそいますね」
「おう」






おそろいのシャンプー
おそろいのボディーソープ
自分と同じものを使っているのに
貴方から香るものは、どうしてこんなに甘いんだろう







―――――あとがき―――――
一万ヒット記念にフリー小説を…
アレですよ、持ってけドロボー的な(泥棒もこんなもの要るまいよ
お好きに持って帰ってください(あ…報告してもらえると嬉しいです


本当はもっとほのぼの甘々系が良かったんですが…衝動の赴くままに書いたらこんなことに…
最後に無理やり甘めにした感が否めませんね
ホント無計画なんだから…

うちに来てくださる皆様に感謝を込めて



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