物語のお姫様って化粧してるのかな。




おとぎ話へようこそ
夜明けとともに目が覚めるほど早起きではないけれど、自分は人より寝起きはいいほうだ。 短い睡眠時間でも別に問題なくスッキリ起きられる。 反対にヒロさんの寝起きはあんまりよくないと思う。 何時間寝ても足りない、とかじゃなくて、いつ起きても5分くらいはベッドの上で過ごしている。 今日も同じで、目覚ましの音がする前に目覚めてしまった俺は鳴る前のアラームを止めて洗面所に向かった。 顔を洗って、洗濯カゴに入っていた服を洗濯機にセットする。 着替えるために部屋に戻るとヒロさんはまだベッドに丸まって眠っていた。 脱ぎかけの格好のままベッドに腰掛けてヒロさんの髪を弄ってみたけど、起きる気配はない。 眠ってるヒロさんもかわいいなぁ、とぼーっと考えていたら、眠り姫の話を思い出した。 そういえば物語に出てくるお姫様って化粧とかしてるんだろうか。 いつか来る王子様のために綺麗なドレスを着て、化粧をしたりするんだろうか。 そう考えるとなかなか健気というか、打算的というか。 子供たちの読んでいた絵本ではそんなこと書いていなかったけど、唇は鮮やかな赤色だった。 そして眠っているその手には一輪のバラ。 すこしでも自分を綺麗に見せるために?王子を射止めるために?一番魅力的な姿を見せるために? 「そんなの必要ないのになぁ」 本当に好きな人ならそこにいるだけで十分な気がする。 その人が魅力的で、だからこそ惹かれるのに。そこにそんな演出なんて必要ない。 パジャマ代わりのTシャツとジャージ、寝癖のついた髪。十分にかわいい。十分に引き付ける魅力を持ってる。 「キスしたら、起きてくれますか」 「王子ってガラじゃないだろ」 パッチリと開かれた目に驚いて髪を弄っていた手を引っ込めると、ヒロさんが体を起こした。 まだ眠いのか少しボーっとしてはいるけど、ちゃんと覚醒している。 「つーか半裸の王子ってどうなんだ」 アクビしながら言われて自分が着替えている途中だったと思い出した。 クスクスと笑うヒロさんをベッドに引き倒せば、驚いたように目を見開いて笑い声が止んだ。 「起きてるなら言ってくれればいいのに」 拗ねたように言って見せれば、赤い口元が弧を描くように上がる。 口紅もなにも付けていないはずなのに、綺麗な色だなぁ。もしかして引力があるんだろうか。あるいは磁力? 自分を引き付けて止まない力に従って顔を落とせば、頭突きされた。 「非道いです、ヒロさん」 「朝から何しようとしてんだ。顔洗ってくるから退け」 はいはいと応えながら体を起こしてヒロさんの手を引き起こす。 その力を利用してヒロさんをギュっと抱きしめたら10秒ほどして鳩尾に軽くパンチが入った。 「……ヒロさん」 「補給終了。朝飯よろしく」 ヒラヒラと振られた手を見送って中断されていた着替えを再開し、キッチンに向かった。 「どっちかって言うと女王様?」 ピンヒールがお好みなら踏んでやろうか。 きっちり着込まれたワイシャツにネクタイを通しながら笑うヒロさんの前に俺お手製の朝食が並んだ。 ―――――あとがき――――― ふ、フフッ。あぁ、もう、本当に申し訳ありません。 半年放置とか、もう。 あ、これ半年前に書いてるんです。6月くらいに書いたのをちょこっといじっただけです。 放置しまくりですみません。
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