昔の自分を改めて見ると 死にたくなるときがある… ろみじゅり 「野分、悪ぃけど本の整理してぇから手伝ってくれ」 「あ、はい」 俺は正直整理整頓が苦手なほうだ 教授ほどではないけど ほっとくと山が3つぐらい出来る だからこうやって定期的に片付けるようにしている 「ヒロさん、これどうしたらいいですか?」 「ああ、悪ぃけどリビングのほうの本棚に持っていっといてくれ」 「分かりました」 「んで、これは…?何か挟んでる…?」 俺はしおり代わりに手近にあるものを挟む癖がある 時々何を挟んだのか忘れて探し回る羽目になるのだが… (今回は何挟んだ?) 今回挟んであったもの…それは… 「何じゃこりゃぁ!!!」 高校時代の写真 別にただの写真ならいい… 問題は… 「ヒロさん、大丈夫ですか?!」 「何でもない!!何でもないから!!ホントに何でもないから。あ、これ、これもリビングに持って行ってくれ」 「へ?あ、は、はい」 (俺いつの間にこんなもん挟んだんだ…) 高校時代のあまりに恥ずかしい思い出…――――― 「…じょう君、上条君!」 「へ?あ、何?」 「聞いてた?」 「あ、ああ聞いてたよ、別にいいんじゃねーの」 「…男に二言はないよね?」 「おう」 「やった〜、じゃあ文化祭の配役決定〜〜!!」 「やったね〜、皆で打ち合わせした甲斐があったよね〜」 (…?何そんなに騒いで………) 「ちょ、ちょ、ちょっと待てぇ!!!何かそれ間違ってないか?!その配役根本的に間違ってないか!!!」 「何言ってんのよ、“男に二言はない”んでしょう」 「いや、そりゃ言ったけど何で俺が“ジュリエット役”に入ってんだよ」 「みんなでロミオとジュリエットするって決めたじゃない」 「別に演目に文句があるんじゃなくて配役に問題があるだろ!!」 「皆の投票の結果よ」 「そうそう、それに上条君にもきちんといいか聞いたじゃない」 「…さっきまで女子委員の背中で見えなかった」 「投票はきちんと誰に票が入ったか言いながら書いたわよ」 「う…」 「上条君が聞いてなかっただけじゃないの?」 「…」 (何も言えねぇ…) 「つーか、何で女子がやらねぇんだよ」 「そりゃぁ…ねぇ」 「…投票の結果よ…ねぇ?」 「仕組んだんだろ!!」 「何文句ある?投票で決まったんだし、男なら男らしくやったら」 「……開き直るなよ。つか、どうせなら秋彦にやらせればいいだろ」 「宇佐見君はロミオに決まってるでしょ!」 「ってかね、宇佐美君がロミオやったら女子はそりゃジュリエットやりたいわよ」 「でもそんなことしたら全校の女子を敵に回すことになる」 「女子のいじめは陰湿で狡猾」 「そんないじめのターゲットにはなりたくない」 「しょうがないから男子にやってもらおう、ってことになったの」 「…なったのじゃねぇよ…」 「別に男なら何にも言われないわよ(むしろ、おいしいし)」 「そうそう、ギャグで通るよ(面白いしね)」 「…ま、諦めろ」 「つーか秋彦、何でお前も反対しないんだよ」 「女子20人男子16人じゃ多数決で負けるからな」 「お前な、俺とラブシーンやるんだぞ」 「別にホントに何かするわけじゃないんだからいいだろ(むしろ、女子とすることのほうがイヤ)」 「…(こいつ、女子とやるのが嫌なだけか…)」 「じゃ、早速練習しよっか」 「その前にサイズ測らないと」 「…それもそうね…」 「おい、ちょっと待て…何でそんなに嬉しそうな顔で近づいて来るんだ…?」 「え〜、別にそんなことないよ、ねぇ?」 「じゃ、宇佐見君、取り押さえて!!」 「取り押さえって、おい、秋彦放せ!!てめぇ…。っておい、うわぁぁぁぁ!!」 「ちょっと、ジュリエット真面目にやりなさいよ!」 「…ハイ」 「ジュリエット、やる気あるの?」 「スイマセン」 「ジュリエット〜」 「…何デスカ…」 「服、出来たわよ」 「…着るんですか?」 「さっさと着て」 「…ファイ…」 「…何か…」 「弘樹…」 「「予想外にアンバランス」」 「当たり前だろ!!!元々は男なんだよ!!分かってたことだろうが!!!」 「いや、私達の予定はもうちょっと可愛くなる予定だったんだけど…」 「髪が短いからじゃないか?あからさまに男に見える」 「あ、そっか。流石宇佐見君」 「じゃぁ上条君、こっち来て」 「え…」 「さっさと来て」 「…はい」 「カツラ、こんな感じ?」 「もうちょっと何かない?」 「…巻いてみる?」 「…。縦ロール…か。よし、やれ!!!」 「おー!」 (もう勝手にしてくれ…) 「こんなもん?」 「…何か、上条君のイメージ変わったね」 「うん、何か可哀想な子って感じ」 「哀れみの目で俺を見んなぁぁぁ!!!」 「ま、いっか。衣装も出来たし、今日はそれ着てやって」 「拒否権は?」 「別にいいけど、本番はどうせ全校生徒の前でやんのよ?」 「…」 「あ、上條君こっち向いて」 「あ゛?」 ーカシャ 「…何やってんの…」 「あ、ほら、髪型崩れたときの為に、ネ」 「…あ〜、そう――――― (今思い出しただけでも身の毛がよだつ…) 「ヒロさん、置いてきましたけど…」 「うをぉう!!後ろから急に声かけんなって言ってんだろ!!!」 「ヒロさん、何か落としましたよ?写真ですか?……」 「やめろ!見るな!返せぇぇ!!!」 「なんですかこれ…」 「見るな、返せ!っ…手が届かん…」 「ヒロさん」 「あ゛ぁ?」 「本の整理しましょう」 「え、あ、ああ。ってか写真返せ。」 「自分で取ってください」 「は?取れねぇに決まってんだろ。さっさと返せ」 「さ、頑張りましょうね、本の整理」 「てめ…」 「これはこっちの本棚でいいですよね」 「おい…」 「あ、ヒロさんそこの本取って下さい」 「あ、はい」 「こっちはリビングですよね」 「ああ」 「じゃあこれは…」 「あ、これはこっちに」 「何か結構早く終わりましたね」 「ああ、予定より早く終わったな〜」 「よかったですね」 「疲れたし…飯でも食いにいくか?」 「はい!」 (…何か忘れてないか?ま、いっか) ー後日 「?野分、お前の部屋のあのでっかいパネルなんだよ」 「あ!!入っちゃ駄目です!!」 「?何かあんのか?」 「手術の資料です」 「…あ、そう」 「内臓の拡大パネルなんで見ないほうがいいです」 「あ、そうか」 (ヒロさんのジュリエットの写真なんてバレたら没収されちゃいますよね) ―――――あとがき――――― 2000HIT記念作として書いたのですが2400に…ありがたいことです 今回は“ヒロさんジュリエット編”ですね 何となく話の繋がりの見え辛いお話になってしまって申し訳ないですね… ヒロさんの縦ロールを想像したら、我ながら酷いものを書いたものだと反省 皆さんも想像してみてください 可哀想なヒロさんが見れます ヒロさんは未だ野分に振り回されっぱなしですが、野分はヒロさんの扱い方を覚えましたね