俺にはあなたしかいない
あなたはどうですか?





     あなただけ、





「………ヒロさん」




すれ違いの生活で一番辛いのは
一人で家にいるときだ




好きな人が傍にいないというだけで
世界には自分独りしかいないんじゃないかと錯覚する




ヒロさんの影を無意識に追ってしまう…




「ヒロさん」



返事なんて返ってくるわけがない
分かっていてもつい繰り返す
なんて滑稽なんだろうか









「ただいま」
「お帰りなさい、ご飯食べます?」
「ああ」
「じゃあすぐ温めますね」
「おう」




やっぱり貴方がいるだけで
俺の世界は変わる



こうやって一緒にいるだけで
世界が俺と貴方だけならよかったのに、と思う




ヒロさん
貴方はどうですか?
貴方にとって俺はどんな存在ですか?




(何て…)





こんなこと聞けば子ども扱いされてしまうから聞かないけど
それでも聞きたいと思うのは我侭なのかな




「ヒロさん」
「ん?」
「美味しいですか?」
「あぁ、美味いよ」




(まぁ、今はこの言葉だけでいいか)




貴方の何気ない言葉は
俺にとってこれ以上ないほどのご褒美
こんなにもうれしい気持ちさせてくれるのは





「ヒロさんだけですからね」
「は?」




―――――あとがき―――――
ヒロさんは野分に餌付けされてるといいな〜、という話です
ヒロさんは忙しいからコンビニとかで済ませてそうですが
野分は節約の為に自炊って感じですね
一緒に暮らし始めてからもあんまり変わってなさそうなライフスタイル

しかし家での会話が既に熟年夫婦の様相を呈しているのはいかがなものか…
ヒロさんの返答って「ああ」とか「おう」とかしか浮かばない
しかも何か亭主関白っぽい…まぁ、別にいいんですがね



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