季節が一巡して
貴方に会える日が近づく


貴方のいるところへ帰ろう


俺の帰るべき場所へ





      空白の一年間






「ノワキ、明日だろ?日本に帰るの」
「ああ、一年間ありがとう」
「まったく、スゲーよな、2年で修了するとこを1年でやっちまうんだから」
「…まあ、ね」
「“ヒロ”っていったけ?」
「へ?」
「お前の大切な人だよ」
「ああ」
「その人の為にさっさと日本に帰るなんて…なんつー薄情者だ!!」
「イタタタタ、ははは、ごめんって」
「きちんとカーター教授に挨拶して帰れよ。お前が帰るの寂しがってたぜ」
「分かってるよ」
「日本に帰っても俺らのこと忘れんなよ」
「メールするよ」
「絶対だぞ!!」
「ああ」
「明日空港まで送るよ」
「ありがと、助かるよ」




一年間の海外留学
小児医療の最先端を行くこの大学病院での研修
本来なら二年間なのを自分なりに努力して一年で修了した
ヒロさんに
早く会うために


一歩でも近づけるように




「本当にもう帰ってしまうのか?
 残ってもいいんだぞ。学費のことなら私が何とかする、奨学金もある」
「ありがとうございます。でも、」
「…全く、日本に用事があるときは案内を頼むぞ」
「はい、一年間ありがとうございました」



長くて、でもしないといけないことが多くて短い
貴方に会えない時間は長かったけれど
貴方に近づくことが出来たのならこれ以上に嬉しい事は無い






―…発、16時着の日本行きの飛行機に搭乗される方は…



「ノワキ、またな」
「ああ、送ってくれてありがとう」
「気をつけて帰れよ」



この飛行機が
貴方の居る場所まで連れて行ってくれる
この日をずっと待っていた
この日を


やっと帰れる
貴方の元に
俺の場所に





―――――あとがき―――――
空白の一年
本編では語られていないですね
ヒロさん編は小説で書いたので
今回は野分出立編です
ヒロさんは脆いと思いますが
野分はやることがあってあっちに行っちゃったので頑張ったのだと思います
じゃなきゃ、ヒロさんが浮かばれないです…
頑張った野分は日本に帰ってヒロさんに愛の一蹴を貰います



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