素直に嬉しいと思えないのはなぜだろうか……







        03 暗証番号を入力してください








「…出張、ですか?」
「あぁ、今週末までには帰るけどな」
「そうですか…」
「お前の当直とかあるんだろ?ちょうど良かったじゃねぇか」
「……本当に今週末までには帰れるんですよね」
「お前の当直じゃないんだから、別に大丈夫だよ」
「はぁ……」
「ほら、お前も自分の準備とかあんだろ。俺も明日からの準備しないといけないんだから、さっさとどけ」
「はい…」








「野分!お前起きてんなら何で起こしてくれなかったんだよ!!」
「起こそうかと思ったんですけど…」
「けど何だ!」
「…ヒロさんが行っちゃうのかと思うと起こせなくて…」
「……アホか」
「すみません」
「あ〜、遅刻する。じゃあな、今週末には帰るから」
「はい、いってらっしゃい」
「俺の荷物は…って何でお前荷物隣に置いてんだよ、似たようなバックなんだから見分けつかねぇじゃねぇか!」
「左側のバックが俺のです」
「こっちか。じゃあ行ってくるな」
「いってらっしゃい」










「…あれ?」
「どうしたぁ、野分」
「ヒロさん間違えて俺のバック持っていってる」
「は?」
「いえ、何でもないです。先輩、すいません。ちょっと荷物取りに帰ります」
「急げよ〜」
「はい」








「……上條、でかくねぇか?その服」
「…成長期に合わせて買ったんです」
「……へぇ…」
「………」
「俺の予備でよかったら貸そうか?」
「よろしくお願いします」
「彼氏のバッグ間違って持ってきたのか?ちゃんと管理しとかねーから…」
「……なにか?」
「……。まぁ、その…なんだ…上着はともかくシャツはキチンと合ってんじゃねぇか。良かったな」
「…………」
「上條?」
「何で俺のシャツが入ってんですかねぇ?」
「お、お前の?」
「俺のバッグは暗証番号つきなんですよ。ってかアイツのもなんですけど」
「…暗証番号一緒だったのか。ま、まぁ仲がいいってことで」
「俺の誕生日なんですよ、番号」
「へぇ」
「俺、別にアイツと番号合わせたりしてないんですけどね…」
「……」
「おかしいっすよねぇ、なんで開いたんでしょう…」
「そ、そうだな」
「あいつの服が入ってて、あぁ間違えたんだなって思ったんですけど、なんでか俺のもんが多々入ってんですよ」
「……」
「俺の失くしたはずの旅行用の歯ブラシとか、シャツとか…果ては俺の写真まで…」
「あ、愛されてていいじゃないか!!」



―――


『あれ?野分、俺の旅行用の歯ブラシどこに行ったか知らないか?』
『さぁ』
『どこにやったかな?』
『ヒロさん、この際旅行用じゃなくて使い捨てに変えたらどうですか?衛生的にもそっちのほうがいいですよ』
『そう、だな。じゃあそうしようかな』


―――



「か、上條、帰って来い!なんか遠い目してんぞ、お前。とりあえず俺の上着貸してやるから!」
「ご迷惑おかけしてスイマセン」
「いや、気にすんな。明日は早くから学会があるんだから早めに休め、な?」
「…そうします」









愛されている…
考えようによっては確かに愛されてるんだろう…
でも…でも…なんでか
素直に喜べない







『暗証番号を入力してください』








―――――あとがき―――――
ぶっちゃけストーカーです
えぇ、ストーカーですとも
歯ブラシとかホント怖い(お前が考えたんだよ

それではここで野分君に質問です
Q.他にもヒロさん関連の暗証番号はありますか?
A.野「銀行の暗証番号はヒロさんのスリーサイズです」
 ヒ「どこで調べた!!!」
 野「医者ですから」

野分は本当に怖いと思う


長めのオマケ





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