野分:秋から冬にかけて吹く暴風
   台風


野分は「台風」と言う意味


何もかも薙ぎ倒して
その後は





     台風の名は伊達じゃない





「うわ〜、雨激しくなってきたな」
「ホントだな〜」
「うわぁ!!ビックリさせないでくださいよ教授!」
「いや、ノックしようと思ったんだけど、ボーッとしてたから驚かせてやろうと思って」
「思わなくていいです」
「いや、でも本当に酷くなったな、雨」
「そうですね。台風来てるらしいですからね」
「お前歩きだろ?吹き飛ばされんなよ」
「そんなに軽くないですよ」
「どれどれ…」
「抱きついたら肘鉄食らわせます」
「仮にも上司に向かって脅しとは…」
「仮にも上司ならそれらしい行動をして下さい」
「まぁ、それはいいとして、お前大丈夫か?」
「一応傘持ってるんですけど」
「いや、あんま役に立たないと思うぞ。こんだけ降ってりゃ家に着く頃にはずぶ濡れじゃないか?」
「…やっぱりそうですかね」
「俺、車だし送ってやろうか?」
「あ〜、じゃあ……。いや、やっぱり良いです。ご厚意だけ頂いておきます」
「ん〜、そうか?じゃあ風邪ひかんようにな」
「はい、じゃあお先に失礼します」



『はい』
「野分」
『ヒロさん、どうしたんですか」
「悪いんだけどさ、風呂沸かしといてくれ」
『分かりました』





「ただいま」
「おかえりなさい、ってヒロさんずぶ濡れじゃないですか。雨随分酷いんですね」
「ああ」
「お風呂沸いてるんで入ってください」
「悪い」




「風呂ありがとな」
「雨そんなに酷かったんなら迎えに行ったのに」
「いや、お前が来ても変わんねーだろ。つーか2人して濡れてどうするんだよ」
「それもそうですけど…。あ、でも」
「何だよ」
「そうしたら一緒にお風呂に入れましたね」
「んな!?アホか、2人で風邪ひいたらどうするんだよ」
「ヒロさんと一緒ならいいですよ」



(…なんでこいつはこんなに恥ずかしいことがサラッと言えるんだろう)


外は台風
雨はバケツをひっくり返したように土砂降り
外を歩いて帰れば当然のようにずぶ濡れ
風も酷くて木は揺れていて葉は舞っている
外は風が強くて前に進むことすら辛い



「野分」
「なんです?」
「風邪…ひいたかも」
「え?!大丈夫ですか?熱は…」
「寒いんだ」
「え?」
「寒い」



このプライドが揺らいだのはきっと外が台風だから
台風で
台風のせいで
揺らいだだけ


(台風が全部悪い…)


「本当だ、ヒロさんの体冷えちゃってますね」
「…」
「俺が暖めてあげます」
「…」


明日には外の台風は去って
綺麗な太陽が見えるだろう




「ヒロさん」
「ん?」
「暖まりました?」
「っ!!!聞くな、ボケ!!」
「はははは」
「むかつく」
「ははは、ヒロさん可愛いです」
「うるせぇ」


夜が明ければ
明日になれば
いつもの風景


外は快晴
暑すぎる日差し
隣にいる馬鹿はムカツクほどいい笑顔



―――――あとがき―――――
台風が去った後の晴れ
気持ちいいですけど
道路とかたまに地獄絵図だったりします
“台風の名は伊達じゃない”
今までで一番悩みました…





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