あたたかいのは体か、心か










      しあわせの温度









目が痛い。肩も痛い。全身が悲鳴を上げているのが分かる。
時計を見ようと思って顔を上げれば朝日が目を直撃した。いつの間にか夜が明けていたらしい。朝日ってこんなに眩しかったのか。
本来なら徹夜なんてあんまりしないほうなのだけれど、今回は仕方ない。
学生の採点作業もあったし、何より昨日野分からメールがあったから。

『明日の朝には帰れそうです』

夜10時頃に送られてきたメールには用件だけ。まぁ、俺も人のこと言えないくらい短文だけれども。
もしかしたら早く帰ってこれるかも、と起きていたのだが結局野分はまだ帰っていない。
本当は朝食くらい作ってやりたいが、今包丁を持ったら大変なことになることくらい俺にも分かる。
スマン野分。あとで作ってやる。

目を開けているのもつらい。起きて待っていようと思ったのに、これではさっさと眠っておいたほうが良かった。
ドアやらソファーにあちこち体をぶつけながら寝室に移動する。
ベッドに倒れこめば下から声がした。野分?
あぁ、なんだ帰ってたのか。じゃあ”おかえり”って言わないと。
いや先に謝らないと。思いっきり倒れこんだし、痛かっただろう。やばい眠すぎてなんにも考えられない。
何にも言えない。いや、言えてるのか。だめだ、もう意識が飛んでる。
野分が布団をかけてくれたのか、なんだか体が温かい。
ちょうど良かった。正直布団をかぶる体力ももう残っていない。
ぬくぬくとした布団が気持ちいい、そう思った瞬間に俺の意識は完全に切れた。



―――――あとがき―――――
本当はもっと長かったのですが、全く収集がつかなくなったため、短くしてみました。
超ショートストーリーです。まぁ、オマケなので。
リクエストを下さったかた、どうもありがとうございます。



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