俺とアイツ、
肩の触れ合う距離。




トナリ。




野分の愛情表現は、ダイレクトに伝わって来るものばかり。
そう、今みたいに突然。


「おいコラ。」


繋がれた手を持ち上げて、出来るだけ低い声を出した。
そんなことで野分を怯ませることなんか出来ないことは十分承知している。
だからといって、黙ってこいつに好き勝手されるのは俺のプライドが許さない。


「何ですか?」
「なんだよ、この手は。」


離そうとしない手。
突然繋がれたこの手、俺は動揺を見せないように精一杯平然を装った。


「ヒロさん。」


くす、と柔らかい笑みを浮かべる。
野分がこの笑顔を見せるときは碌な事がない。
きっと動揺を見破られている。


「ヒロさんの指、綺麗です。」


野分の唇が指に触れた。
顔が一瞬にして熱くなるのが分かる。


「やめろ、アホッ!」


慌てて振り払ったがもう遅い。
嬉しそうに笑う野分の顔を見ることさえ出来ない。
相変わらず触れ合う肩が、熱くて、熱くて。
隣に座るあいつの唇が触れた指は、まるで麻痺したような感覚。

もう一度、
そう思ったのは伝わったのか、野分が俺の手を取り上げてキスをした。

まるで麻痺したような感覚。
でも、麻薬のように繰り返し求めて。


「ヒロさんは可愛いです。」


お前の愛情を、唇から指に。












エゴイストなんて書いたことないのに、
それを私に強制してくる素敵なお友達(笑)晴和さんへ。


2006,09,01  ちゃき


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