大学生ともなれば酒を飲む機会が増えるのは分かる
実際大学の教員をしている以上それぐらいのことは理解しているつもりだ
なのにどうしてこんなに嫌な思いをしなくてはいけないのか……



          募る不安






「……またお前は…」
「ック……」
「君のお部屋はお隣なんですよ、忍チン」
「眠ぃ……」
「自分の部屋で寝ろバカ者、オジサンは明日1限から講義が入ってるんです」
「俺も」
「1限からあんのに呑むな、ただでさえ未成年のクセに……。ったく」
「ちょっと休んだら戻るカラ」
「お前この前もそんなこと言って、結局泊まっていったじゃねぇか」
「だって眠いんだもん」
「"もん"じゃねぇ、"もん"じゃ」
「ん……」
「あ〜、コラ、玄関で寝んな。………これだからガキは…」
「ガキじゃない」
「自分で酒の量も制御できない内はガキです」
「……注がれたんだから、呑まないと」
「とにかく、これからはあんま無理に呑むんじゃねぇぞ」
「うん……」






はい到着、と言って忍をベッドに落とすと、この馬鹿はすでに熟睡していて
すやすやと眠っている姿はなかなかに子供らしい可愛いもの
18歳という年齢を考えても少し幼さが残る
決して嫌なわけではなく、こんな幼い子供に手を出している自分への罪悪感のようなもの
ほんの少しの後ろめたさ
邪な心など無いが、教育者という立場が心にしこりを残す







‘んっ’と溢れる微かな寝息と共に耳の奥で聞こえる破裂音
それはまさしくテロリズムの象徴







「忍ちん、早く起きて下さいよ」







眠っているコイツを襲うとまるで自分が犯罪者にでもなった気分になる




(まぁ実際これだけ歳が離れていれば無理もないが……)




不安になるのは自信がないから
堂々とできないのは後ろめたいから
それでも、手を出さずにいられないのはコイツのことが本当に好きだから……
だからさっさと起きてくれ







―――――あとがき―――――
本当にテロリストは難しい
何なんでしょう……
最近あんまり純情を読んでいないので忘れてしまっているようです…
復習して出直してきます
あぁ……課題が待ってる


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