はじまりは
ロケット


01はじまり


「ヒロさん…このロケットの置物どうしたんですか?」
「…いや、なんとなく…」


(やっぱり買ってくるんじゃなかった…)


何で俺がロケットの置物なんか買ったかというと…ロケットは俺と野分の“はじまり”だからだ
あの時、あのペットボトルロケットが俺の前に落ちてこなかったら、俺たちは出会ってなかっただろう…


(ってか、俺もよくこんな昔のこと覚えてんな…)


「懐かしいですね」
「は?」
「忘れちゃったんですかヒロさん、俺たちのはじまりはロケットじゃないですか」
「へ、へぇ〜、そうだっけか?」
「…」
「な、何だよ」
「いえ、ヒロさんはやっぱり可愛いです」
「なんだそりゃ…」
「かわいいです」
「…アホか…」


はじまりは、
墜落ロケット



―――――
あのときから、貴方に堕ちてる







まるで王子様みたいで

02王子様


「ウサギさん」
「何」
「鈴木さんパワーアップしてない?」
「かっこいいだろう」

ここに鎮座するテディーベアの鈴木さん
昨日までとはちょっと様子が違う…

(何で王冠に青マント?)

「彼は“鈴木さん(改)”だ!!!」
「はぁ…」
「鈴木さんに似合いそうな青マントを探していたんだが中々無くてな、だがようやく見つけた!」
「…そりゃーよかったですね」
「どうした美咲、嬉しくないのか?」

(嬉しいとかそういう問題か…?)

「ちなみに王冠は特注だ!」

(アホだこの人!!)

「…よかったネ」
「ああ!」

(ッ!!)

「どうした美咲、顔が赤いぞ?」
「別に!!」

笑った顔が、あんまりにもかっこよくて…
まるで王子様みたいだったんだ


―――――
お姫様にはなれないけど、隣にいてもいいですか?







03叶わぬ恋とは知りながら

「高槻ぃ〜、どっか寄って帰らねぇ?」
「…いや、俺行きたいとこあるから」
「んだよ、付き合い悪ぃーな」
「じゃ」


今日は土曜…
運が良ければ図書館には“あの人”がいる…
話をしたことも無いし、名前も知らない
だけど、俺はあんたのことを知ってる
古い本をいつも積み上げて嬉しそうに読んでて


(…見つけた…)


あんたの席はいっつも決まっる
日本文学のエリアに一番近い机
俺の定位置はその対角線上
心理学エリア

俺はあんたのことを知ってる
でも何も知らない
名前も職業も年齢も

あんたは俺のことを知らない
…認識もない
俺に見られてることすら知らないだろう

これが恋だとすれば…きっと叶わない恋だ
でも…
別に悪くない


―――――
いつかきっと、振り向かせるから







04恋占い

恋する人の必需品
“占いの本”

「宮城」
「何?」
「血液型何?」
「…A」
「性別は?って男か」
「…?」
「じゃあ、生年月日…」
「あの、忍チン」
「何?」
「何やってんの?」
「…」
「アンタには関係ない」
「思いっきりあるだろ!!」
「うるせぇな、質問に答えてくれればそれでいいんだよ」
「ほう?」

(このクソガキは…)

「おら!」
「うわ、って返せよ、人の本取り上げってんじゃてーよ」
「…恋愛占い〜恋する貴方のバ・イ・ブ・ルvv〜、ってなんじゃこりゃ…」
「だぁ!!見んな!!!」


…純粋なのは大いに結構
だが、その方向が間違ってないか…?

「返せよ、オイ宮城!!」
「これは没収だ!!」


恋する青少年の必需品
“恋愛占い〜恋する貴方のバ・イ・ブ・ルvv〜”

―――――
そんな本より、こっちを向いて?







05告白

「野分」
「何です?ヒロさん」
「ずっと言えなかったんだ…でもようやく言える」
「ヒロさん?」
「好きだ」
「ヒロさん…!」
「お前のことが好きだ、野分。誰より愛してる!!!」

(…夢みたいだ…ヒロさんがこんな…)

ジリリリリリリ

「………………」

(夢か…)

「おい、野分もうそろそろ起きろよ、今日夜勤だろ」
「あ、ヒロさん」
「何だ、起きてたのか。そろそろ準備しろよ」
「はい」
「?何だよ、俺の顔になんか付いてるか?」
「ヒロさん、今日夢見たんです」
「夢?」
「はい、とってもいい夢でした」
「へ〜、そりゃよかったな」
「きっと正夢になると思うんです」
「ふーん、良い夢なら正夢になるといいな」
「じゃあ、ヒロさんも協力してくださいね」
「は?どういうことだよ」
「教えてあげません」
「…てめぇ…」
「顔、洗ってきますね」
「ついでに脳も洗っとけ!馬鹿」

正夢になる日はちょっと遠い


―――――
きっと言わずにはいられなくなるよ


――――あとがき――――
一部改稿しました(2/22)


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