俺の知らないところで何やってるんですか、貴方は







        GIFT







それは一本に電話から始まった





「はい、草間です」
『あれ、わっちゃんか。懐かしいなぁ』
「えっと…あの、どちら様で……」
『あ、前田です。ウサギビールの』
「え……前田さん?!あ、お久しぶりです」
『いや〜、本当に久しぶりだなぁ。元気にしてたか、わっちゃん』
「はい。あれ、でも何で前田さんがウチに電話…」
『あぁ、忘れてた。ひったん居るかい?』
「ひったん?」
『上条君』
「ヒロさん?……いえ、あのまだ帰ってないんですけど」
『そうか〜、携帯に連絡付かなかったからもう家に帰ってるのかと思ったんだがなぁ』
「……携帯?」
『じゃあまた連絡するって伝えておいてもらえるかな』
「………」
『わっちゃん?』
「え、あ…あぁ、わかりました。伝えておきます。はい……それじゃあ」





何で前田さん?
ヒロさんとは確か7・8年前に一回会っただけのはず……
それが何で






「ただいま〜」
「おかえりなさい」
「野分、今日病院は?」
「今日は早く帰れたんです」
「そっか……飯は?もう食った?」
「いえ……あの、ヒロさん」
「ん?あ、どっか外に食いに行くか?それとも俺なんか作ろうか?」
「いえ、もう作ったんで」
「そっか、ありがとな」
「それよりヒロさん、さっき前田さんから電話があったんですけど」
「前田さん?あ、ホントだ。携帯にも電話が……マナーモードにしてたから気付かなかった」
「なんでヒロさんが前田さんと連絡とってるんです?」
「野分……お前冷蔵庫見てるか?」
「はい?そりゃあ…」
「入ってるビール全部ウサギビールのだろ?」
「……はっ!言われてみれば!!」
「前田さんが毎月毎月送ってくれるんだよ」
「それとヒロさんのこととどういう関係が……」
「俺が頼んでんの」
「…前田さんに頼む前に俺に言ってくださいよ!!ビールぐらい俺が」
「研修医の分際で何を生意気な。そんな金があったら医学書の一冊でも買え」
「それはそうかもしれないですけど」
「後で詳しく話すからちょっと待ってろ。電話する」
「……ハイ……」



「あ、上條です。はいお久しぶりです。スイマセン毎月送っていただいて。助かってます
 今月?あ〜…17日なら。……はい、じゃあまた今度。……はい、失礼します」





17日?
17日ってなんですか、ヒロさん!
ていうか今月って先月も何かあったんですか!!






「おい、野分何ボーっとしてんだよ」
「ヒロさん、今の電話なんですか!」
「お礼の電話だろ?」
「今月ってなんですか!!しかも17日って、もしかして会うんですか?」
「そう」
「そう……って」
「月イチで食事に連れて行った貰ってんだよ」
「は?」
「いや、前に『いっつも貰ってばっかで悪いから何か御礼がしたい』って言ったら『それなら食事に付き合ってくれ』って」
「それで行ったんですか?」
「行った」
「貴方は何を考えてるんですか!」
「だよな、いくらなんでもお礼したいって言ったのに食事奢ってもらうのはおかしいよな。俺も何回もそう言っ…」
「違います!!何で俺以外の男と食事になんか行くんですか!!」
「誘われたから?」
「疑問形で返さないで下さい!!聞きたいのは俺のほうです」
「つーかお前こそ何そんなに怒ってんだよ、お前が最初に紹介したんだろうが」
「いや、それはそうですけど」
「それに実際俺は助かってるし」
「……」
「それに食事っつっても話すのはお前のこととかだぞ?最近連絡が取れないって寂しがってたし」
「……それは…すみません」
「いや、俺じゃなくて…たまには連絡したほうがいいんじゃね?」
「わかりました、そうします」
「ん、じゃ飯食おうぜ」
「ヒロさん……聞いてもいいですか?」
「んぁ?」
「前田さんだけですか?」
「へ……」
「会ってるのは前田さんだけですか?それとも他の人とも…」
「他の人とも会ってるよ。飯食いに行くのは前田さんだけだけど」
「他の人から何か貰ったり…」
「早川さんからは新作の菓子とか…あ、出張土産とかで和菓子とかも送ってくれて…林永さんは新作サプリとか…」
「……はぁ……」
「なんで溜息?」
「なんか自分が少し情けなく…」
「何言ってんだ、お前は医者なんだから勉強すればいいんだよ!!」
「ハイ……ところで前田さんとはどんなところに…」
「ん〜…銀座の料亭とか…多いかな。一見さんお断り!みたいなとこ」
「………」




暫く立ち直れません
そういえばヒロさんの近くにいる人って何気にお金持ってる人多いよねぁ…
宇佐見さんとか教授さんとか…
あ…なんか更に凹みそう





「ヒロさん、俺一刻も早く一人前になれるように頑張ります」
「?おう、頑張れよ」



ヒロさん一人ぐらい余裕で養えるように……












「上條君、君も学食で昼食かい?」
「藤村教授、教授もですか?」
「外で食べようかとも思ったんだがね、久しぶりにここで食べるのも悪くないと思ってね」
「俺は専らここですよ。安いし早いし。人が多いのはちょっと困りますけどね」
「ハハハッそうだね。良かったら一緒にどうだい?昼食ぐらい奢るよ」
「わぁ、本当ですか。それじゃあ御言葉に甘えてご一緒させていただきますね」
「どこか座ることろを探さないとな」
「心配しなくてもすぐ空きますよ」
「そうかい」
「はい、すぐに」
「か、上條先生!あ、俺らもう食い終わったんで良かったら…」
「悪いな。教授、どうぞ」
「彼等は君のゼミの学生かい?」
「いや、講義には来てますが学部が違うんで」
「随分顔が広いね」
「教授ほどじゃないですよ。それじゃあ頂きます」









「上條、お前ってホント生き方上手な」
「そうですか?」
「いや、ホント……」








―――――あとがき―――――
ひっさびさに書いたら何が何かわからないものが…

月に10万も本に使ってたら生活に困るんじゃないのか?
と思って書いてみました…
マンションも都心の2DK(推定)ですし…
そう考えると誰かに援助されてるとしか…

そういう想像を風呂場でしてたら楽しくなって書いてしまいました










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