何だかんだで…嫌じゃないのがむかつく







　　　　　　楽しいバスタイム





「なぁ…野分…」
「はい」
「“はい”じゃねえよ！狭い！つーか何で一緒に入ってんだよ」
「ヒロさんが疲れてるみたいだから、俺が洗ってあげようと思って」
「思わんでいい！！はぁ……お前と入ると余計疲れるんだよ…」
「え？」
「何でもねーよ！！」




（何だってこいつは俺の嫌がることばっかり…俺は一人でゆっくり入りたいんだよ
　…まぁ…何だかんだで結局一緒に入る俺も俺だけどさ…）




ピコ






「…一つ聞きたいことがあるんだけどな」
「何です？」
「何でお前はこのアヒルを買ったんだ？」
「ヒロさんみたいだったので」





ゴツッ




「痛っ！！」
「てめぇ…人を何だと思ってんだ！！何でお前の目には俺がアヒルと同列に見えてんだよ！」
「いや、そういうことではなくて…」
「だー！もういい、出る！！！」
「ヒロさん待ってください！」
「ッ！くっつくな馬鹿！！」
「だって…」
「分かった、分かったから放せ！」
「じゃあ、戻ってくれます？」
「分かった、って言ってんだろ！」





（急にくっつかれたらビビるだろうが！！）





「俺は別にヒロさんとアヒルを同列に見たんじゃないんです」
「じゃあ、“似てる”ってなんだよ」
「ヒロさんとはじめて会ったときみたいに、このアヒルが俺を見た気がして」
「…は？」
「そう思うと、素通りなんて出来なくて…」




（…阿呆だ…こいつ正真正銘阿呆だ）





「はぁ、もういい…俺は出る。これ以上入ってたら逆上せる」
「もう出ちゃうんですか？」
「出る」
「じゃあ、俺も出ます」
「…勝手にしろ」





「ヒロさん、何か飲みます？」
「あ〜…ビール」
「一気飲みしないでくださいね」
「分かってるよ」
「どうぞ、ヒロさんって風呂上りのビール好きですよね」
「…まあ…な」




風呂の楽しみ
一つは風呂上りのビール
もう一つは　




「？俺の顔に何か付いてます？」　　　　
「いいや、別に？」



―――――あとがき―――――
お風呂入ると汗かきますからね
水分補給は大切です
みなさんも脱水には十分お気をつけください